2012年12月03日

資生堂東京販売事件

1.論点


非価格制限行為の公正競争阻害性




2.事実の要旨


@ 行為者(被告・控訴人・被上告人)
 資生堂東京販売株式会社(Y)
Yは日本最大の売上高を有する化粧品メーカーである株式会社資生堂(A)の化粧品を専門に取り扱う販売会社である。YはAの製造する化粧品(A化粧品)の各小売店との間で、同一内容の特約店条約を締結して取引を行っている。
 ※特約店条約について
特約店は、A化粧品専用コーナーを設置することや、顧客に対してA化粧品の使用方法を説明すること等の義務を負う。契約の有効期間は1年間であり、双方の意義がない場合は自動的に1年間更新されるが、文書による30日前の予告を持って期間中に解約することもできる。


A 被行為者(原告・被控訴人・上告人)
 化粧品小売業者(X)
XはYと特約店契約を結び、昭和37年以来、取引を行ってきた。


B 行為の対象
 A化粧品


C 行為が行われた市場
 供給者:A,Y
 需要者:X






D 行為の内容
 Xは昭和60年2月頃から、商品カタログを店頭に置き、電話などでまとめて注文を受けて配達する方法で、A化粧品を含む商品を2割引で販売していた。これに気付いたYが、カタログからA化粧品を削除することを申し入れたところ、XはA化粧品をカタログから削除した。しかしその後XがA化粧品のみを載せたカタログを別冊として使用していることが判明し、平成元年4月、YはXに対し、この販売方法は対価販売等を定めた条約に違反するため是正するよう勧告した。そして同年9月の合意書により、今後カタログによる販売をしないことを取り決めた。
 しかしその後、合意書の作成にもかかわらずXは販売方法を改める態度を示さなかった。YはXが販売方法を改める意思がないものとして、平成2年4月25日付けで特約店条約の解除を示し、Xへの出荷を停止した。XはYに対して、特約店条約に基づき、商品の引渡しを受けるべき地位にあると主張し、注文済みの商品を引き渡すよう提訴した。
 1審では、対面販売義務がXとの取引を拒絶するほどの正当な理由とは認められず、Yに対する引渡しの要求が認められた。2審では、Xが特約店契約に定められている対面販売義務に違反したとし、Yの解約が有効であると認め、Xの請求を棄却した。その後Xが上告した。




3.審決の要旨


 Yが特約店契約によってXに対し義務付けたものは、A化粧品の販売のための合理的なものであると認められる。さらにXだけでなく他の小売業者にも同様の義務付けを行っているため、それ自体が公正競争に悪影響を及ぼすものではなく、一般指定13の、相手の事業活動を不当に拘束する条件をつけた取引であるとは認められない。また、特約店契約によって対価販売を義務付けることで、各小売業者の販売費用が増え小売価格に影響を及ぼすが、直ちに販売価格の自由決定を拘束しているとはいえず、一般指定12の、正当な理由のない再販売価格の拘束に当たるものではないとし、Xの上告を棄却した。




4.審決の意義

正当な理由のない再販売価格の拘束は違法だが、メーカーや卸売業者が小売業者に対して販売政策や方法を制限していても、それによる効果が価格維持効果だけならば、拘束の要件を満たさないとされる。




5.問題の答え

Q1 顧客に対し、A化粧品の使用方法などを説明し、相談にも応じるという義務。
Q3 仮に特約店契約を結んでいる小売業者の中でXのみが義務を負い、他の小売業者は義務を負っていない場合、他の小売業者は価格の引き下げが行いやすいため、公正競争を阻害するおそれがあるから。
Q4 販売方法を手段として再販売価格の拘束を行っていると認められる場合。
Q5 A化粧品の適切な販売のための合理的な理由が認められ、かつ、他の取引先小売業者に対しても同等の条件が課せられている場合。



posted by きるぼる at 11:59| Comment(0) | 社会一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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